Wrangler

my denim style is...

 

No. 7: Takahiro Miyashita

Photo  Tomoaki Shimoyama

Interview & Text  Takayasu Yamada (THOUSAND)

 

ファッションの中で、もっとも定番的とも言えるデニムアイテム。
日常的にファッションスタイルへと取り入れている人も多いのではないか。
この連載企画では、スタイルを持った人物にラングラーを着てもらい取材。
その人ならではの自由なデニムスタイルを知り、普遍的であるデニムアイテムとの付き合い方を改めて考えたい。
7回目となる今回は、TAKAHIROMIYASHITATheSoloist.(タカヒロミヤシタザソロイスト. )のデザイナー宮下貴裕さんにインタビュー。

 

今年1月、パリメンズコレクションにデザイナー宮下貴裕さんが10年ぶりに復帰した。前ブランドであったナンバーナインの2009年AWコレクションをパリで発表したのを最後に、ナンバーナインを離れ、2010年より開始したタカヒロミヤシタザソロイスト. 。国内外で傑出した評価を集める宮下さんがパリコレクションにカムバックするということで注目を集めた今季、実は初となるWranglerとのコラボレーションアイテムも登場しているのである。
今回のコラボレーションでは、デニムシャツを1型製作。そのデニムシャツをまとい宮下さんが当企画に登場してくれた。

―宮下さんは日頃からデニムアイテムは着用されますか?

着ますね。僕にはあまり定番的に着るというアイテムはないので、1つのアイテムに限らず、その時々で自分が手掛けてきたものを穿いたり着たりすることが多いです。

―ファッションスタイルでルールはありますか?

こう着なければいけないというようなルールが嫌いなので、もちろん拘りはあるのですがルールを気にすることはないです。

―ラングラーはこれまでも着用したことがありますか?

もちろんあります。ラングラーはデザイン的にとても優れていて面白くて、飛び抜けているんですよ。あまりにも格好良すぎて、良い意味で着るのも見るのも、見せるのも難しいのがラングラーなのかなと思っています。僕の好きな要素が全て詰まっているから、ジーンズやGジャンをデザインすると、なんだか似てしまいそうになるんですよね。

―宮下さんがデニムアイテムのデザインをする上で自然とラングラーに近づくというのは興味深いです。

ジーンズのディテールの外側の股のダブルステッチが嫌いだとか、ブロークンデニムが嫌いだとか言う人も多いんですが、僕はそういうディテールが格好良いと思うことが多い。毎年そうではなく、時代にもよりますし、気分は変わるので他のジーンズが良い時もあるのですが、デザインというくくりで見ると、ラングラー以上のものはない。独特な雰囲気を持っているんです。創造した人が凄いなっていうレベルです。その人の性格が表れていると感じますね。
ファッション業界においての立ち位置が僕に近い気もする。メインストリームにはならないし、コミュニケーション能力に欠けているようなデザインも似ているのではないでしょうか。

―今回、2019AWコレクションでラングラーとコラボレーションをしたきっかけは何でしょうか?

襟を真っ赤にして、カジュアルだけど高貴なアイテムを創りたかったんです。複数のブランドとコラボをしているのですが、ラングラーではウエスタンシャツを創らせてもらいました。僕が着たいと思う、僕が好きなものを選んで、創りたくて創ったんです。

―ラングラーはこれまでの歴史の中で、様々なミュージシャンにも愛されてきました。音楽好きとしても知られる宮下さん的にそういう着こなしから何か影響を受けたことはありますか?

ジョン・レノンの着方は、常に抜群に格好良いですよね。ラングラーはああいう人たちに似合うものなんです。選ばれた人が似合うんですよ。自分のことを格好良いと思っている人たちが着てきたんです。ラングラーを着て格好良くなるのではなく、格好良い男が更に格好良くなる。最近公開されたタランティーノの映画ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドでも衣装として象徴的に使われていました。あれは明らかにタランティーノが、当時(60年代)のハリウッド映画で格好良く使われていたラングラーに対して尊敬の意味で使ったんでしょうね。格好良いということを分かって使っているんです。例えば、車で例えるとメルセデスなどとは違い、カルマンギア(フォルクスワーゲン)みたいな感じで本当に特別なデザイン。ほかに似た存在がない。だから着るのも照れくさい時があるんですよ。格好良すぎちゃうなあとか。僕は観賞用にも良いものだと思っています。「洋服のデザインはこの程度で良いや」とか「これくらいシンプルな方が格好良いでしょう」って言う人がいっぱいいると思うんですが、僕はそうは思わないので。格好良いんだったらふんだんに盛り付けた方が格好良い訳で。それがラングラーだと思っています。カルマンギアのどこがシンプルだと思います? コッテコテのデザインですよね。僕は世界一素晴らしい車だと思いますよ。

―特に好きなアイテムはありますか?

やっぱりウエスタンシャツですかね。ほかにも色々なブランドのウエスタンシャツを持っていますが、どれを着ようか迷ったとき9割方ラングラーになります。その理由は明確にはわからないですが、なぜか手に取ってしまう。そんなブランドなんですよね。ラングラーという言葉の響きやリズムも良いじゃないですか。美しいメロディーが流れている。
これは私物で、いつ何処で買ったのかは覚えていないのですが、ジョン・レノンが描かれています。誰の作品なのか全くわからないんですが、この狂った感じが良いですよね。ラングラーのジーンズの、こういう湾曲している部分が多かったり、フラットじゃない癖のあるところが好きな理由の1つです。それにしてもどうしてこういうものを創ろうと思ったのか。迷走しながら創ったんだろうなと思いますし、そういうところも僕に近いなと思えるんですよね。

 

■プロフィール

Takahiro Miyashita (Designer)

NUMBER (N)INEの創業デザイナーを経て、2010年よりTAKAHIROMIYASHITATheSoloist.を開始。
Instagram @tkhrthesoloistmyst

 
 
 

No.8: Mariko Hayashi

Photo  Kiyotaka Hamamura

Interview & Text  Takayasu Yamada (THOUSAND)

 

ファッションの中で、もっとも定番的とも言えるデニムアイテム。
日常的にファッションスタイルへと取り入れている人も多いのではないか。
この連載企画では、スタイルを持った人物にラングラーを着てもらい取材。
その人ならではの自由なデニムスタイルを知り、普遍的であるデニムアイテムとの付き合い方を改めて考えたい。
今回は、jonnlynx(ジョンリンクス )のデザイナー林真理子さんにデニムスタイルを聞いた。

 

トレンドに媚びることなく、ベーシックでエレガントな洋服を展開し続けるジョンリンクス。ジョンリンクスの服は、自立した大人の女性にこそ似合う。そんなブランドのデザイナーでありディレクターが林真理子さん。林さん自身、プライベートではサーフィンや旅、60’sや70’sロックを愛す人物であり、林さん本人が手がけるブランドからは、カルチャーのバックボーンが漂う。今回のデニムスタイルもまさに、ロックシンガー的な合わせを感じるブーツカットパンツのコーディネートで登場してくれた。

林さんのファッションスタイルからは、いつもサーフィンや音楽のカルチャーを背景に感じます。ファッションスタイルを決める上で意識していることはありますか?

基本的にはオーセンティックなもの、エレガントなもの、ファッションスタイルもメンズのスタイリングが好きなんです。感覚的なところもあるので、言葉で表すのは難しいのですが、周りからはベーシックだけど芯があると言われますね。
つい最近、友達のデザイナーに言われたのが「ジョンリンクスの服には社会性がある」という言葉。自分が作る服も、着る服もやり過ぎだったり、奇をてらい過ぎることはしないです。シックでいたいと思います。

メンズファッション的なスタイルが多いかもしれませんが、女性らしさも感じます。

体型的にも、自分はあまり女性らしい体型ではないと思っていて。ワンピースとか憧れつつも、自分としては女性らしさを大切にしたいとかは一切考えていないんです。自分が好きなスタイルは常にメンズなんです。でも女の人が男の人の服を着るとセクシーに見えたりするので、そういう部分かもしれないですね。

オーセンティックなアイテムも着てサマになる人と、ただシンプルなだけで終わっている人がいますよね。要はその人の人物像やカルチャーが滲み出ていると格好良く見えるんでしょうけど。

音楽も知らないのにバンドTシャツを着ていたり、サーフィンしないけど『surf』って書いてあるようなTシャツを着ている人に違和感があるのと一緒で、コーディネートの奥にカルチャーを感じた方がスタイリングが自然になると思います。私の場合は、音楽からの影響が大きい。ミュージシャンのスタイルから学ぶことは多いです。

今日のスタイルからも音楽のルーツを感じます。

『シノワズリ』という文化様式があり、ヨーロッパから見た中国趣味の様式と言われるものなんですが、その雰囲気が好きなんです。チャイナジャケットはまさにシノワズリ的なアイテムで、古着でも集めています。その雰囲気にしたくて、ジョンリンクスのベロアチャイナジャケットをブーツカットデニムに合わせました。そこにヒョウ柄のブーツを履いて、ロックシンガーとシノワズリが混じったような感覚で合わせています。

ブーツカットやフレアのようなデニムは普段からよく穿かれますか?

ストレートなシルエットのパンツは自分の体型には似合わないと思っています。私は腰幅があまりないので、ストレートなパンツだと太ももの膨らみが強調されるのが嫌なんです。ブーツカットのようなシルエットだと、太ももの部分は細身でシルエット的に綺麗に見えるから好きですね。
基本的に、男性が着ているデニムのシルエットが理想で、ラモーンズとか。彼らは腰が細いじゃないですか。女性向けのデニムは割とお尻の丸みに沿ったシルエットが多いので、メンズっぽく穿けるデニムが理想です。

トップスのインナーに合わせているウエスタンシャツもラングラーですね。

これは昔から持っているウエスタンシャツです。古着で買って、最初は全体的にパッチが付いていたんですが、自分らしくないと思ってパッチを取ったんです。所々、パッチの名残があって今となってはその部分も好きです。今日みたいにデニムオンデニムで、ウエスタンシャツを着ることも多いですね。3年くらい前にデニムオンデニムがめちゃくちゃ流行った時は止めていましたが、最近また良いかと思っています。

林さんの中でラングラーはどういうブランドでしょうか?

他の代表的なデニムブランドはワークのカルチャーが背景にあるのに対し、ラングラーはウエスタン。それでいて、ミュージシャンに愛されてきたブランドだからなのか、着るとミュージシャンっぽく見えるのがラングラー。ラングラーが好きな人は大体音楽好きだと思っています。特に60’s、70’sの音楽好き。細身なシルエットも良い。カルチャーやデザインの面で好きなデニムブランドを考えたらラングラーになるんです。

 

■プロフィール

Mariko Hayashi (Designer)

セレクトショップ“AGOSTO SHOP”のデザイナー兼プレスを経て、2008年より自身のブランド“jonnlynx”を開始。毎シーズン、コレクションテーマは設定せず、流行に流されない日々の生活に寄り添うベーシックさとエレガントさを持つ服を作り続ける。
Instagram @Jonnlynx
公式サイト jonnlynx.jp

 
 
 
 

No.9: Tsuyoshi Nimura

“ラングラーを愛した
ジョン・レノンに憧れて”

Photo  Reiko Toyama

Interview & Text  Takayasu Yamada (THOUSAND)

 

数多のファッション雑誌や広告、俳優、ミュージシャンなど、スタイリストとして長年手腕を振るい続ける二村毅さん。
ファッション以外でも音楽やアートを中心とした様々な文化への造詣が深く、その英知を自身の仕事へと落とし込む姿勢に業界内でも評価が高く、支持者が多い。

そんな二村さんとラングラーの接点は、彼が敬愛するミュージシャン“ジョン・レノン”であろう。音楽や考え方、ファッションスタイルにおいても、若い頃にジョン・レノンから影響を受けたことを公言する二村さん。ラングラーを着るきっかけもやはりジョン・レノンにあったようだ。

−―ジョン・レノンを知りラングラーに興味を持ったきっかけを教えてください。

スタイリストとして働き出した20代の頃、ビートルズを聴き始め、中でもジョン・レノンの格好良さに影響を受けました。その後、ロックンロール・サーカス(※1)を観て、出演していたジョンの格好がデニムのジャケットにパンツ。そのスタイルが格好良いなと思いましたね。デニムパンツはバックポケットが映像に映っていないこともあり、明確に何のブランドを履いていたかわからないのですが、ジャケットはラングラーの“111M-J”というモデルということを後に知りました。


※1
1968年にローリング・ストーンズが企画し、ジョン・レノン、エリック・クラプトン、ザ・フーといった面々が出演したTVショー。監督はビートルズのドキュメンタリー映画“レット・イット・ビー”で知られるマイケル・リンゼイ・ホッグ。しかし、出演者側の諸事情により1996年まで放映されずお蔵入りになっていたという伝説的な映像作品となっている。

――ジョン・レノンは晩年までラングラーを好んで着ていたようですね。

ビートルズの歴史の中で、ご存知の通りアイドルっぽい格好の時期やサイケな時期など様々なスタイルがあるのですが、1968年にリリースした“White Album(ホワイト・アルバム)”の頃は、ジョンの格好もすごく渋くなってくるんですよね。“Instant Karma!(インスタント・カーマ)”のPVでは、111M-Jを自分でリメイクしてパッチをつけていたり、70年代の写真では124M-Jに自分でファーをつけて着たりもしています。そのロックンロール・サーカスは、30年近くお蔵入りになってしまうんですが、ジョンがラングラーを着ている姿を確認できるのは、この時が一番最初なんじゃないかなと思います。人々の前に出る時だけではなく、レコーディングの風景写真にもラングラーを着たジョンが映っていたりもします。ヘンリーネックに白いパンツを履いてラングラーのGジャン。そんな格好もジョンの60年代後期に印象的でした。

――ジョン・レノンから影響を受けて、二村さんも当時からデニムジャケットを着たりしましたか?

一番ハマっていた20代の時期は、デニムジャケットにフレアパンツといったコーディネートを好んで着ていました。ですがそれは、他のブランドでしたね。ジョンのデニムがラングラーだったと知った時は、同じモデルを探していましたが、当時はヴィンテージも珍しく、良い1着に巡り会えないままでした。だから、今日着ている11M-J(ジョン・レノンがロックンロール・サーカスで着ていた111M-Jのプロトタイプ)は、無駄なディテールがなくシンプルで気に入っていて、これから着込んで味を出していきたいと思います。
また、ラングラーで思い出に残っているのは、いまだに大事に持っているウェスタンシャツ。これは、僕が25歳くらいの時、雑誌の企画でデニス・ホッパーを撮影したことがあるんです。その時に着ていたのがこのシャツで、撮影後にデニス・ホッパーのサインを裏に書いてもらいました。その時の僕の写真も大切に残していますが、この頃は古着ばかりを着ていましたね。

――二村さんとは長くお仕事をご一緒させて頂いているのでわかりますが、一度気分にハマった格好を毎日のようにしていますよね。

気分に合う格好に落ち着くと、ある程度の期間ずっとその格好ばかりしていますね。スタイリストなので、相手の服選びのことを考えていたら、どうしても自分の格好は後回しになってしまう。今の時代、本当はもっと前に出る格好をしても良いんでしょうけど、自分はどうしても後ろ向き。多分、人の服のことを考えている方が楽しい性分なんです。

“The White Album”は、ビートルズの中でも最も僕が影響を受けたアルバムですが、シンプルであることの重要さをここから学びました。シンプルだからこそ、小さな1つ1つがとても大切。それは僕の仕事もそうで、迷ったらたまに聴くようにしているんです。

昔、兄から貰ったビートルズの古本に、メンバーの好きなものがアンケートのように書いてあるページがあって、そこに好きな洋服について書く欄があったんです。そこにジョンは“地味なもの”って書いていた。そういった繊細な部分に僕は影響を受けてきましたね。

――今だとどういうファッションスタイルが二村さんは気分ですか?

最近また気分が、ヘリテージに戻ってきているんです。ここ数年は、テクニカルで軽い服を着ることも多かったのですが、しっかりとした作りの服が愛情を持てて良いなと再認識しているところです。携帯電話がない時代の服というか(笑)。人間味が出る服を求めていたり。なんかまたそういうものが良いと思っているんです。映画も最近昔のものを観ることが多くなったし、それを自分のビジュアル作りでも落とし込めたらと思っているところです。最近また、ヴィンテージのラングラーで124M-Jも手に入れました。基本的には濃い色のGジャンが好きなんですが、この薄い色も良いなと思ってます。デニムのセットアップって、テーラードスーツの反対側みたいなもの。これはこれでスーツを着るような格好良さがあると思うんです。

 

Tsuyoshi Nimura (Stylist)

1970年生まれ。20代より様々なファッション雑誌や広告、アーティストのスタイリングを手がけるほか、モノ選びの視点が買われ、セレクトショップのディレクションなども行う。

 
 
 

No.10 Eriko Yoshida

ブロークンデニムの

独特な青色が好み

Photo  Tomoaki Shimoyama

Interview & Text  Takayasu Yamada

 

ファッションの中で、もっとも定番的と言えるデニムアイテム。
日常的にファッションスタイルに取り入れている人も多いのではないか。
この連載企画では、スタイルを持った人物にラングラーを着てもらい取材。
その人ならではの自由なデニムスタイルを知り、普遍的であるデニムアイテムとの付き合い方を改めて考えたい。
今回はセレクトショップ“6 (ROKU)”のディレクター吉田恵理子さんのWranglerについて。

 

上品な大人に向けたカジュアルスタイルを提案するセレクトショップ(6)。

rokuを構成する要素は、エスニック、スポーツ、ミリタリー、マリン、ワーク、スクール。その6つの要素がrokuで陳列する服や提案するスタイルに表現される。

そんなrokuのディレクターを務める吉田恵理子さんは、長年、ユナイテッドアローズでショップスタッフ、バイイングを手がけてきた人物だ。ドレスからカジュアル、古着までこれまで様々な服を見てきた吉田さんだからこそ表現できる、コアなスタイル提案に、ファッション好きな女性からの支持が高い。

 

―吉田さんのファッションスタイルに対してお話を聞かせてください。

ユナイテッドアローズを通して、カジュアル、ドレス、デザイナーズクロージングと各セクションを経験してきました。セクションによって確立したスタイルがあるのですが、私はそのセクションをクロスオーバーしたいと思っていたんです。私の好きなファッションスタイルのルーツも昔からジャンルを分け隔てなく楽しむことだったので。例えば、マルタン・マルジェラに古着を合わせたりと、ハイファッションを崩していくような感覚が昔から好きでした。20代の頃は、週末に高円寺や町田によく行って古着屋を巡ったり。そういう中で、ラングラーに出会いいくつか買ってきたんです。

―ラングラーはどういう部分に惹かれて買ってきたんですか?

素材感や色味、シルエットがほかのデニムブランドよりも、ハイファッションに合わせやすいと感じていました。特定の型を探すというよりも、ラングラーが持つブロークンデニムならではの色味に惹かれて買っていた気がします。今日着ているジャケットは60年代のものだと思うので、ブロークンデニムではないのですが、このアイテムたち(物撮りした3型)はブロークンデニムですね。青くて乾いている感じが好きなんです。

自分たちもデニム作りに携わることがあり、ラングラーのデザイン面も改めて見ると良いと思いました。(デニムパンツを指しながら)後ろのシームもほかのデニムブランドと違って、ステッチが

逆ヨークになっている点が魅力です。それがとても女性らしく見えるというか。元々、ラングラーは、ハリウッドの映画のカスタムテイラーであったデザイナーがディレクションをしていたこともあって、ワークだけではない魅力があると思います。そういう部分がハイブランドと合わせやすかったりする理由かもしれないですね。

―今日着ている11MJZは吉田さんにとってどういうアイテムですか?

メンズサイズの幅が気に入って着ています。最近は、青色の服、コーディネートにかなり惹かれていて、色としてブルー系のデニムを取り入れることが多くなりました。

今日もブルーを着たいから色味でまとめた感じです。ジャケットのオーバーなサイズ感を活かして、パンツも大きいサイズ感なので中はタイトにしたり、70’sらしさを自分なりに崩して着ています。機能的にもアクションプリーツが入っていたり着やすいところも良いと思います。

―お店でもデニムやラングラーのアイテムを置いていますね。これも6つのエレメントの1つ、“ワーク”を構成する為のものとしてですか?

私は、カジュアルでも社会性や品性を感じるコーディネートができるという思いがあるんです。白いTシャツでも輝けるんだという気持ちを持っていて、rokuのコンセプトを決める為のルールブックでも書いています。それには、ラングラーだったり、セントジェームスやブルックスブラザーズroku のようなオーセンティックなアイテムにハイファッションを合わせたり、今の気分に合わせてスタイルをアップデートしていくということをお店でも提案しています。ファッションは、寝ることや食べることと同じくらい生活を豊かにできるということをお店で表現できたらと考えています。ラングラーも、ただのカジュアルなスタイルではなく、ちょっと捻りを効かせることで面白くなる。そういう提案をこれからもしていきたいと思っています。

―オーセンティックなアイテムは最近また注目されている気がします。

ファッションは半年でサイクルが変わるので、半年前の服が古くなるというそのサイクルに世間的にも疲れてきていますよね。このラングラーたちも、50年以上受け継がれてきたアイテムたち。こういう普遍的なアイテムには、とてもロングライフな魅力があると思います。

 

▼プロフィール

Eriko Yoshida  (Fashion Director)

ユナイテッドアローズのショップスタッフやバイヤー、MDを経験したのち、2013年からセレクトショップ6 (roku)のディレクターを務める。

Instagram @6______roku

 

 

No.11 Tomohiro Konno

計算された秀逸なバランスと

アジのある経年変化を楽しむ

Photo  Hidetoshi Narita

Interview&Text  Takayasu Yamada (THOUSAND)

 




ファッションの中で、最も定番的と言えるデニムアイテム。

日常的にファッションスタイルに取り入れている人も多いのではないか。

この連載企画では、スタイルを持った自分にラングラーを着てもらい取材。

その人ならではの自由なデニムスタイルを知り、デニムアイテムとの付き合い方を改めて考えたい。

今回は、NEXUSⅦ.のデザイナー今野智弘さんが自身の愛用するラングラーを紹介。

 




業界きってのヴィンテージ好きとしても知られる今野智弘さん。自信が手がけるブランド、NEXUSⅦ.のデザインでもヴィンテージの服から学ぶことはとても多いという。そんな今野さんのヴィンテージコレクションの中でも、特別な逸品であるというラングラーのジャケットを紹介する。

――このジャケットについて教えてください。

ヴィンテージマニアの中では、幻のジャケットと言われている66MJZです。

ロデオ大会のレフェリー用に作ったんじゃないかと言われていて、チャンピオン用に作られた赤の12MJZやサックスブルーの22MJZ、ベージュの33MJZと種類がある中で、このブラックは66MJZという珍しいジャケットなんです。

憧れのモデルとしてずっと探していた中、10年前くらいにこれを持っていた友人から譲ってもらったんです。ラングラーのヴィンテージはタイトなサイズが多い中、若干オーバーに着れるサイズ42もかなり珍しいと思います。

――このジャケットに惹かれた理由はなんですか?

存在自体は、昔、BOONなどの雑誌で読んだ情報で、刺繍が入った赤のチャンピオンジャケットがナンバー1なんだって思っていたんですが、そこから探しているうちに実は幻の黒が存在することを知ったんです。

この形自体がすごく好きで、実際に着てみると、着丈のバランスやハンドポケットも使いやすく、復刻もしていて人気になっているように、すごく着やすいジャケットなんです。

現代の復刻は技術がある分、物持ちが良いけれど、これは1950年代のもので、今よりも技術が発達していない分、染色だったり縫製にアジが出る。ステッチも現代の強度なコアスパンと違い、綿糸で縫製されていることで、ダブルステッチの部分も両側で痩せ方が違ったり、所々糸が切れていたり。自分はそういう部分が好きですね。

――当時、レフェリー用に作ったモノが、約70年経った今でもデザインとして優れているというのがすごいですよね。

いろんなGジャンを見てきたけれど、ラングラーのこの形が秀逸だなと思いました。

ボタンではなくジップというのも良いですね。ジップのジャケットって意外と難しくて、丈があと1,2cm短いとバランスがまた違って見えてきたり、ボタンと違って丈が短いと合わせ辛くなる。そういう細かいところまで考えられているんです。

また、ラングラーで1つ思い出があって。アメリカ最古の木版で刷る「ハッチ・ショー・プリント」というお店がアメリカの(テネシー州)ナッシュビルにあり、NEXUSⅦ.のポスターを作るために飛行機を乗り継いて行ったことがあります。数日滞在したんですが、そこはカントリーな街で、古着屋とかスリフトのお店にラングラーのバナーやアイテムが誇らしげに飾ってあったことが印象的でした。最近だと映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」でブラッド・ピットが着ていたり、アメリカでは文化的にラングラーが直結している感じがしますよね。

――これを着る時はどういうコーディネートをすることが多いですか?

褪色していることが伝わるように中に白を合わせたり。50年代の感じを出すためにピンクを入れたりすることが多いですね。ヴィンテージ用語では、黒にピンクで黒ピンとか、グレーにピンクでグレピンと言われますが、50年代の象徴的なカラーを表すことに学生時代は憧れていました。僕たちよりも上の世代が、50年代の黒ピンのアロハシャツを大事に着ていたりしてカッコイイなと思っていましたね。でも自分は、ロカビリーの分かりやすいリーゼントみたいなスタイルではなかったから、自分なりに崩して、カラーリングだけを取り込んだりしていました。そのおかげで、今でもピンクが好きでNEXUSⅦ.でもよく使用するんだと思います。

――現行のアイテムに関しては今野さんどう見ますか?

見た目の良さを重視したスタイリッシュなバランスがラングラーの魅力だと思っていて、形そのものがブランドの象徴であるから、生地を現代的に置き換えた今のモノも良いと思います。

でも僕は、着込んでボロボロになったものが好きですね。高校生の時も、色落ちをさせるために、制服の中にいつもGジャンを着ていました。

最近、新型コロナウイルスの影響もあって、長く使えるモノ、経年変化を楽しめるモノに対してより魅力に感じれるようになりました。自分のブランドでも型数を半分以上に減らして、必需品である洋服の要素を追求していったんです。リペアをして長く持つモノとか長く楽しめるモノ。こういうヴィンテージも、前の人が大事にしてきたから、こうやって自分の手に渡っているからであって、ラングラーのように受け継がれていく服をこれからはより意識していきたいと思っています。

 

▼プロフィール

Tomohiro Konnno  (NEXUSⅦ.  Designer)

2001年からブランドNEXUSⅦ.を手がけるファッションデザイナー。ヴィンテージへの造詣が深く、知識から裏付けされた細やかな拘りを服作りに込める。

Instagram  @nexus7konno @nexusvii.official

 

 

No.12 miu

生活感のあるスタイルが好き

Photo  Kisshomaru Shimamura

Hair&Make-up  Hitomi Matsuno

Interview&Text  Takayasu Yamada (THOUSAND)

Dog  Shigeru

 

ファッションの中で、最も定番的と言えるデニムアイテム。

日常的にファッションスタイルに取り入れている人も多いのではないか。

この連載企画では、スタイルを持った自分にラングラーを着てもらい取材。

その人ならではの自由なデニムスタイルを知り、デニムアイテムとの付き合い方を改めて考えたい。

今回は、モデルや女優として活躍する東京のファッション、カルチャーアイコン、miuさんが登場。

 

ハイファッションからストリートまで、日々モデルとして様々なジャンルの洋服に袖を通すmiuさん。

そんな彼女も、普段のスタイルはワークをベースとした着こなしが多いようだ。

プライベートでは、愛犬のしげるを散歩するのが日課。

この撮影時もしげるの散歩をしながら、いつも通りのコーディネート感で出演してくれた。

国内外のファッション誌や広告のモデルや、映画の出演などで存在感を増し続けるmiuさんが意識するデニムやファッションのスタイルとは。

 

―最近はどういうファッションスタイルが気分ですか?

機能性のあるもので、生活感が出るものが好きです。あまり決めすぎていないラフな感じですかね。

素材が良いものだったり、ハイエンドな服も勿論好きで、TPOに合わせてお洒落をする日もあるんですが、普段はワークモノのような着る人によって見え方が変わるものを着ることが多いです。

生活感とか人間らしさというのが好きなんです。

―意外な視点ですね(笑)

古着も、おじいちゃんが着ていたんだろうなっていうものを着ると、その人の人生とかを背負ったり引き継いだりする感じがして興奮するんですよ(笑)

街を歩いていても、ポケットがいっぱい付いている服とかを見ると「その服どこで買ったんですか?」って聞くくらいときめきます。

―ファッションの参考として、映画や写真集、ミュージシャンから影響を受ける人が多いと思いますが、そういう生活感溢れるものというのは面白いですね。今日のコーディネートもそんなイメージがありますか?

そうですね。いつも通りの公園に散歩する時のコーディネートです。

でも、そういった映画や音楽、本からスタイルの影響を受けることはもちろん多いですよ。

例えば、今日、ハンチングを被っているのもその1つです。

18世紀末に起こったフランス革命によって、それまで高価なファッションをしていた上流階級の人たちが、カントリースタイルを取り入れ出したり、乗馬を趣味にする中で激しい動きに合うようにハンチングが流行したというのを歴史で知ったり。そういう必要性が当時、お洒落の中で取り入れていたんだって思うと、今日履いているラングラーはカウボーイの為に生まれたデニムという繋がりや自転車に乗って犬の散歩に行くような生活に当てはまると思って、ハンチングを合わせたんです。

―今日履いているラングラーの感想は?

ヒップのハマりがすごく良く、センタープレスが入っていることで品の良さが魅力だなと思います。丈も短くてブーツと合わせやすいところも良いですね。私はロックが好きで、スキンズのスタイルのように夏、どれだけ暑くてもブーツを履くような格好が憧れています。そういうスタイルにもこのデニムはハマるんだろうなと思いました。

―普段からデニムは履きますか?

ほぼデニムですね。

太いのも、スキニーも、ケミカルやダメージも良く履きます。履けば履くほど自分の形にハマっていくし、裾がほつれてきたり、ポケットに入れた財布の跡とか、生活感が出てきて愛着が強くなっていくのがデニムの魅力です。

―それも着る人によって変わる魅力ですね。

同じものでも着る人によって、その人が好きな音楽だったり、生活の一部が服を通して表れるじゃないですか。モデルの仕事でも服で主張というよりは、服を通して自分が現れると良いなと思っています。人間性が出るのが面白いし、そういう自分らしさが出やすいのがデニムだったり、Tシャツだったりするのかな。

だから大切な服は簡単には手放せないですよね。カルチャーとか音楽で服を着ている感じをこれからも意識していきたいです。

そういえば、こないだ親に連絡をした時にラングラーの話になったんです。

親も過去に映画「アウトサイダー」とか「スタンドバイミー」を観た影響で、ラングラーを着ていたりしたそうで。

そうやって服を通して好きなカルチャーが親と繋がっているということが、改めて面白いなと思いました。

 

▼プロフィール

miu  (Model, DJ)

透明感のあるルックスに加え、自信が敬愛する音楽のカルチャーを背景にした軸のある表現で、国内外のファッション誌、広告、映像作品で存在感を示すモデル。DJとしても活躍する傍ら、大のラーメン好きとしても知られる。

Instagram  @_miugram_